11月11日は米国では Veterans Day、退役軍人の日であった。これに先立つ先週末に、近くの街にある地域コミュニティーの集まりに、そこの幹事役の女性から誘われて彼女のゲストという形で参加させてもらった。おおよそ100人ほどのランチの集まりであったが、その日は特にそのコミュニティーに住む退役軍人達にあらためて敬意を表するという趣旨であった。この街は太平洋岸の比較的昔から開けた一等地であるからか、その集まりにはアジア系、ヒスパニック系の姿は見られなかった。幹事役の女性の説明によると、その一等地で余生を送り、亡くなっていった人達が遺産をそっくりそのコミュニティーに寄付するケースが多く、公共の集会場と言っても日本では考えられないほど立派できれいなものである。
さて集まりでは、司会役の人からマイクを渡されて20人くらいの退役軍人達が一人づつ「どの戦争に、どの軍で、どういう階級で、参戦したか」を簡単に自己紹介したのである。その中には第二次大戦に参戦という80歳代後半から90歳代の老人も 5人ほどいた。自己紹介が進む中で一つ意外な事に気づいた。第二次大戦、朝鮮戦争に次いで「Cold Warに参戦した」という人が10人ほどいた事である。Cold War、冷戦、即ちベトナム戦争である。誰かが他人の自己紹介の後に「戦争なんて Hot なものなのに、一体なんだいその Coldというのは」と冗談を言って笑わせていたが、それに参戦したという全員が見事にベトナム戦争とは一切言わず敢えて「Cold War」を使う事で統一していた。
我々団塊の世代よりも少し上の米国の世代の中から多くの若者が徴兵され、56,000人もの戦死者を出し、事実上敗北、撤退したあの「ベトナム戦争」という名前さえ使いたくないほど、米国社会は傷つけられたからなのであろうか。
米国内で取引先を訪問したり、各地を出張したりした時に、よく出会ったのが「日本に行った事はあるよ、Kadenaに」と言うこの世代の連中である。つまりベトナム戦争での戦場への往復や休暇で沖縄の嘉手納基地に降り立ったという事だ。一人の男は取引先の工場の工場長であったが、それでは「Marine (海兵隊)かい?」と聞くと、「お前は俺を insult(侮辱する)のか、俺は Air Forceだ、奴らと一緒にしないでくれ」と笑う。新政権の岡田外相による普天間(海兵隊)基地の嘉手納(空軍)基地への統合案の話を聞くといつもこの男の笑い顔を思い出す。なるほど我々ではあまり知りえない米軍内での微妙な関係の様なものもあるのだろう。
そのベトナム戦争の終幕を象徴するあのサイゴンの米国大使館屋上からのヘリコプターでの脱出の写真が Newsweek最新号の表紙である。アフガン戦争のベトナム戦争化を危惧しての特集記事が組まれているが、アフガン駐留のマクリスタル司令官からの 40,000人の兵力増派要請に対して、オバマ大統領がどう答えるか、ベトナム戦争の教訓を通じてのまさに賛否両論なのである。
増派賛成派はアイゼンハワー元大統領の ”If you fight, you must fight to win.” という言葉を引用し、オバマ大統領が一旦アフガンの戦いに力を入れると言った以上、中途半端な事をすればそれこそ悲惨な結果につながると警告し、一方反対派の中には早くも早期撤退の機会を探るべきだとしている。いずれにせよオバマ大統領としては、このアフガン問題は医療保険の問題と並んで政治生命をかけての最重要課題であり、日本の新政権の幼稚な対応振りに付き合って居られるほどの時間的、精神的な余裕はないであろう。
さて集まりでは、司会役の人からマイクを渡されて20人くらいの退役軍人達が一人づつ「どの戦争に、どの軍で、どういう階級で、参戦したか」を簡単に自己紹介したのである。その中には第二次大戦に参戦という80歳代後半から90歳代の老人も 5人ほどいた。自己紹介が進む中で一つ意外な事に気づいた。第二次大戦、朝鮮戦争に次いで「Cold Warに参戦した」という人が10人ほどいた事である。Cold War、冷戦、即ちベトナム戦争である。誰かが他人の自己紹介の後に「戦争なんて Hot なものなのに、一体なんだいその Coldというのは」と冗談を言って笑わせていたが、それに参戦したという全員が見事にベトナム戦争とは一切言わず敢えて「Cold War」を使う事で統一していた。
我々団塊の世代よりも少し上の米国の世代の中から多くの若者が徴兵され、56,000人もの戦死者を出し、事実上敗北、撤退したあの「ベトナム戦争」という名前さえ使いたくないほど、米国社会は傷つけられたからなのであろうか。
米国内で取引先を訪問したり、各地を出張したりした時に、よく出会ったのが「日本に行った事はあるよ、Kadenaに」と言うこの世代の連中である。つまりベトナム戦争での戦場への往復や休暇で沖縄の嘉手納基地に降り立ったという事だ。一人の男は取引先の工場の工場長であったが、それでは「Marine (海兵隊)かい?」と聞くと、「お前は俺を insult(侮辱する)のか、俺は Air Forceだ、奴らと一緒にしないでくれ」と笑う。新政権の岡田外相による普天間(海兵隊)基地の嘉手納(空軍)基地への統合案の話を聞くといつもこの男の笑い顔を思い出す。なるほど我々ではあまり知りえない米軍内での微妙な関係の様なものもあるのだろう。
そのベトナム戦争の終幕を象徴するあのサイゴンの米国大使館屋上からのヘリコプターでの脱出の写真が Newsweek最新号の表紙である。アフガン戦争のベトナム戦争化を危惧しての特集記事が組まれているが、アフガン駐留のマクリスタル司令官からの 40,000人の兵力増派要請に対して、オバマ大統領がどう答えるか、ベトナム戦争の教訓を通じてのまさに賛否両論なのである。
増派賛成派はアイゼンハワー元大統領の ”If you fight, you must fight to win.” という言葉を引用し、オバマ大統領が一旦アフガンの戦いに力を入れると言った以上、中途半端な事をすればそれこそ悲惨な結果につながると警告し、一方反対派の中には早くも早期撤退の機会を探るべきだとしている。いずれにせよオバマ大統領としては、このアフガン問題は医療保険の問題と並んで政治生命をかけての最重要課題であり、日本の新政権の幼稚な対応振りに付き合って居られるほどの時間的、精神的な余裕はないであろう。
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