2009年11月9日月曜日

欧州の現実

今回の8月の選挙結果から、日本も欧州先進国の様に少子・高齢化の問題を抱え、これからは高福祉国家の道を一途に目指して、市場経済重視の道には二度と戻らないであろうと思い込むのは早急であろう。英国では来年6月の総選挙で 13年ぶりに保守党に政権交代する可能性が高まってきている。43歳というキャメロン党首の人気が急上昇中である。このキャメロン氏は王族の血を引き、イートン – オックスフォードという絵に書いたエリートであり、長身、甘いマスク、弁舌爽やか、ユーモアあり、よき父親(2月に長男を亡くした事への同情あり)、自転車通勤という庶民性と、英国では申し分ない条件である。しかも、サッチャー流の新自由主義とは一線をかいて中道の道を行くとなれば支持層も幅広い。

もし英国で保守党政権へと交代すれば、フランス、ドイツに並んで三国揃っての保守政権となる。しかしながら、米国とは若干違い、保守政権が米国型の市場経済至上主義に走るという事は三国での政権交代の流れを見る限りあり得ないであろう。いずれも保守派の中ではやや中道路線を歩み、社会民主主義的な政策を維持していて、幅広い支持層を獲得しているからである。それではそうした明確な対立軸がない中で、何が政権交代をもたらしているのであろうか。どうも党首の外見、人気、人柄によるところが大きそうだ。

そこにはそれぞれ三国のお国柄の違いも見て取れる。フランスのサルコジ大統領はややあくの強い個性を見せ付けるし、ドイツのメルケル首相はいかにもドイツ的(牧師の娘で西独生まれ、東独育ち)な質素ないでたちである。メルケル首相はドイツでは党派を問わず、女性層の支持を完全に取り付けているらしい。米国から見ても、あのヒラリー女史の様な人を見下した、冷たそうな雰囲気で一種の緊張感をもたらすのではなく、メルケル首相の決してファッショナブルとは言えないな服装といでたちに、何となく癒される様で好感が持てるのである。

英独仏三国の政治を見ていると、日本との大きな違いの一つが、首班が日本の様にそうコロコロと変わらない事だ。それは一つにはドイツでの解散権の制約等の議会の規約上の要因もあるであろうが、やはりしっかりとした二大政党制というものが確立していて、日本の様に以前は自民党の中枢にいた人物が、今度はぞろぞろと民主党の中枢で権力を把握するといった大いなる欺瞞と矛盾がないからである、つまりあくまでも政策が中心であって、日本の様に政局を軸に選挙民が惑わされると言う様な馬鹿げた事が起こっていないからであろう。

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