2011年4月11日月曜日

大阪都構想

今回の統一地方選挙における大阪府議会選挙で大阪維新の会が第一党となり、しかも109議席中の57議席確保で過半数を制した事の意義は大きい。今回の選挙は大震災の一ヵ月後という事と東京都の石原知事四選、更には菅政権の問題もあって相対的に注目度が低くなっていたが、橋下知事にとっては大阪都構想の実現化に向けての大きな一歩だ。

そもそもは橋下知事の支持率と言うのは8割近い高率を維持してきており、大阪府民自身のおよそ半分がこの大阪都構想に賛成しており、反対を大きく引き離している様だ。また、興味深い事に民主党の岡田幹事長がこの構想に対して全く理解を示していないのに対し、自民党の石原幹事長はむしろ積極的に理解を示している事から、菅政権と民主党への不信感と不人気が橋下知事の維新の会躍進に追い風となった。

もともと大阪都構想の基本は (1) 大阪府と大阪市という二重行政の無駄と非効率を解消する (2) 東京都と並ぶ関西圏での行政組織確立で日本全体の活性化を図る、事を目的としてきたが、今回の大震災の教訓から (3) 災害対策としての東京の首都機能分散の必要性、があらたに注目を浴びた形だ。更に、これに先駆けて行われた愛知県知事と名古屋市長、名古屋市議の選挙で河村氏のグループが勝利し躍進した事も大きく後押しをした。

大阪都構想を進める上での橋下知事のリーダーシップと個性はなくてはならないものだ。橋下知事への府民側での高い支持率にも拘らず、公務員層からの支持率は25%と言われており、いかにこの行政改革に対する既成政治勢力や地方官僚機構の抵抗が強いものかが伺われる。しかし、本来保守系である橋下氏自身はかねてから小泉氏を模範とすると述べてきている通り、小泉氏と同様に強靭な抵抗勢力と正面から対峙し、同時に移り気で危うい大衆人気に乗り切る度胸はこの知事には備わっている。

橋下知事の個性はまた、経済界の孫氏、堀江氏、三木谷氏、柳井氏らと同様若手で東京育ちではない非官僚的、非サラリーマン的発想とエネルギーの持主である事、また同時に弁護士としての知識と経験が備わり、テレビ出演を通じての大衆人気を得ているところの三点にある。取り分け大阪という土地柄は庶民性が重んじられる所で、その違いは石原氏と橋下氏の外見や立ち居振るまいからも見て取れる。

橋下氏のもう一つの強みは自らの言葉による情報発信力にある。Internet上では橋下氏に対する誹謗中傷は氾濫しているが、それに対抗する様に橋下氏の Twitterを見ているとまるで機関銃である。Twitterは140文字以内という制限があるので、多くの情報を発信する場合は 140文字内のツイートを連続多発させる事となるが、そのエネルギーが凄い。3/22の同氏のツイートは何と延々43件連続、3/31には 29件連続であったが、その間の日にも断続的に続いた。それでもさすが弁護士なのか、文章が一件ごとにきれいに制限内に収まり、主張が判り易く簡潔に纏まっているところに感心する。

この大阪都構想は決して大阪や関西圏だけの為ではなく、東京の一極集中から来る閉塞感を打破する事の鍵となって沈滞ムードが続く日本全体の活性化につながるものであると確信する。それは何よりも海外に眼を向ければ明らかだ。米国でも欧州各国でも日本の東京の様に何事も首都に一極集中してしまう様な愚かな国家システムにはなっていない。複数の大都市圏があって、独自の産業や文化があり、それらが相互に刺激しあって相乗効果により発展してきている。日本の場合は将来この役割をするのが大阪都であり中京都である。

もとより関西人には人の目を気にしてやたら自粛ムード一色になってしまう様な画一的でサラリーマン的な発想はなく、海外でも例えば米国社会に根をおろして成功している個人事業家には関西出身者が多い。大阪人ではなくとも、海外からであっても、日本全体の活性化の為にも個性派の橋下知事には大いなるエールを送りたい。

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