2011年4月10日日曜日

三流政治指導者と日本経済

4月に入り米国でも暖かくなり天候が安定してくるにつれ、各地でゴルフコンペが開かれる季節だ。今年は米国人でも日本人でも日本の大震災被災者の為のチャリティーを名目にするところが少なからずある様だ。参加費を上げたりして余剰金を全額義援金にまわすというやり方で、これだと寄付する側も集める側も気楽で、目標金額も参加者数で事前にしっかりと計算できる。

さてコンペともなるとゴルフ場はビジネスマンの間ではたちまち情報交換の場所になる。日本人の間での共通の話題は、この震災によっていかに日本の本社や工場が原材料と製品の確保に奔走してきたか、現在もしているかという事だ。震災後一週間は米国の顧客も「お悔やみ」ムード一色であったし、日本中からの緊急在庫をかき集める事で何とか対応したが、二週間目に入ると顧客側ではこれがあせりに変わり、パニックになってきたとの事だ。

トヨタ生産方式、ジャストインタイム、リーンプロダクション、SCM(サプライチェーンマネージメント)といった名称で知られる「在庫の無駄を徹底的に削減する」企業努力が日本からの供給停止で裏目に出たのだ。今回の震災で欧米アジアメーカーでの生産ラインが相当部分ストップしてしまうという事態が世界中で起こり、例えば GMあたりの日頃日本車を目の敵の様にしている様な米国メーカーでも日本製の基幹部品やパーツに完全に依存しきっているのが判ってしまった。また世界中で販売が激増しているスマートフォンもそのほぼ全てに日本メーカー某社の基幹部品が組み込まれているので業界全体で大騒ぎだ。

同時に日本国内では企業本社の東京脱出や機能分散は着々と進行していて、例えば予想通り関西の賃貸オフィスやレンタルオフィスの需要は急増して一部は満杯になってきている様であるし、また外資系企業では既に大阪や名古屋に早々と本社機能の移転してしまった所もある。全てが後手後手の菅政権の対応でそれどころではないとは思うが、政府レベルでの首都機能分散は議論さえも始まっていない。

もう一つの動きは米国の不動産業界である。やはり資産の海外へのリスク分散を考える日本の富裕層向けの動きがある様だ。米国では現在、住宅市況が底と言われ、競売物件が選り取り状態にあり、しかも円高というまたとない投資機会がこのところ続いているのだ。場所によっては新築物件でもその価格がリーマンショック前の1/3というのもあって、例え当面は賃貸にまわす事で有利な資産運用が出来なくとも、取り敢えずは購入手当てをして日本での更なる震災と万一の放射能被曝リスクに備えようという動きだ。

こうなると経済界の動きは素早く、いらいらするほど情けない政治の動きとは全然違う。散々、欧米メディアの不信を買い軽蔑されて来た菅政権と違って、世界の日本の経済界や技術力に対する信頼度と依存度は依然高い。これはあまり公表されていない事実だが米国の防衛産業に於ける日本のハイテク民生部品への依存度もかなり高い。一言で言えば、日本からでしか調達できない最先端の電子部品が入らなければ、戦場では米軍はミサイルを一発も打てず、戦闘機も飛ばせず、空母も航海できないという事も在り得る話だ。

今回の震災では日本の「経済一流、政治三流」を改めて再認識させられた。菅氏に対する米国メディアの酷評の一例であるが事実をうまく伝えている。Granted, Japan’s ethic of uncomplaining perseverance — gaman, in Japanese — may also explain why the country settles for third-rate leaders. つまり、日本人の「我慢の精神」があるからこそ菅氏の様な三流の指導者でも何とかもっているとの的確な指摘だ。いつまで日本人はこの菅氏という「三流指導者」に我慢し続けなければならないのだ。

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