今回の大災害ではTwitterの果たす「緊急時における情報伝達機能」の役割が極めて大きい事が見事に証明された。その「速報性」「拡散性」は言うまでもなくその「信頼性」までにおいて新聞雑誌テレビの既製メディアをはるかに上回ったのである。Twitterは信頼できる人間をフォローしている限り、それは「助け合いと善意」の社会であり、ほとんど誹謗中傷とかデマのない「荒れない」世界なのだ。これをホリエモン(堀江貴文)氏は以前Twitterに関する対談の中で「Social Filtering」という言葉を使って説明していた事がある。要は多数の情報が氾濫する中で Twitterで誰をフォローするかによってその得られる情報の質が大きく変わって来るという事である。
Twitterに日頃親しんでおられない方には中々実感頂けないと思うが、要はTwitterというのは 140字以内で意味の無いつぶやきをするのみではなく、優良、有益な情報が詳しく記載された サイトへの「素早い誘導」をする役割を持っているのだ。例えばこういう風にだ。「福島原発問題に関してたった今行われた英国大使館と本国政府間の電話での意見交換の結果は英国大使館のサイトで。http://ukinjapan.fco.gov.uk」という具合に。これを会談に参加した当事者が緊急性の面から(おそらく東京を脱出すべきかどうか問合せてくる在京の英国人への連絡を主眼として)メディアに流す前にTwitterでその場でつぶやくので、日頃フォローしている人からTwitter人気ランキング上位のホリエモン氏や勝間和代氏といった信頼できるソースを通じてたちまち百万人単位に拡散されたのである。因みに堀江氏、勝間氏のフォロワーはそれぞれ約 65万人と約 50万人であり、通常Twitterをやる人は両方同時にフォローしている。
この情報拡散過程において誰がそれをやろうと、行き着く情報ソースであるサイトが英国大使館(しかも英国政府科学技術顧問トップの意見)ともなれば疑う余地のない「信頼性」ともなる。これに対し、一方の大手メディアの産経新聞号外や雑誌AERAはデマとも思える様な号外や見出しでひたすら危機感と不安感をあおり国民を混乱させた。雑誌AERAに対しても Twitter上で即座に批判と注意が伝達されたのである。ここではホリエモンは「終わってる」と一言ツイートしたのが印象的だ。彼は文学部出身らしいが、「終わった」というのは「皆それなりに大丈夫という正しい情報を得ている」から、「その件は終わっている」というのと同時に、「既製メディアそのものもデマまで流したらこれで終わりだ」と表現しているのである。おそらくは一連の既製メディアの刺激的な見出しや表紙は、国民から相手にされなくなって存亡の危機にあるあせりから来るものであろう。このあせりは今回新聞がこの Twitterを活用して何とかTwitterと相互補完しながらも生き延びようとしている事からもうかがえる。
更に大きいのは政府機関の動きだ。今回政府官邸側は震災発生当初から自由報道協会の上杉隆氏らから「政府発表にTwitterも使う様」要請されていたにも拘わらず、官邸は全く無視と拒否をしていた。しかし、原発情勢が深刻化する中で3日後になって急遽官邸のアカウントを開設しTwitterを通じて政府発表を流しだしたのだ。これによって海外から異常とも思われている海外メディア、フリーメディアを一切排除した排他的記者クラブ制度も揺らぎだした。
今回不思議に思ったのは米軍の活動を伝える写真は大量に、それこそルース米国大使のツイートを通じて紹介されるのに対し、肝心の自衛隊員の活躍の様子はほとんど既製メディアからは伝わって来ず写真を目にする事がなかった事だ。例の尖閣問題での海上保安庁のビデオ流出でこりた官邸が極端に規制しているからだろう。しかし陸自は負けていない。周辺のアドバイスを受けて、先日陸自のTwitterアカウントを開設して、一般の写真投稿サイトを使って独自に自衛隊員の活動写真を紹介しだした。これを Twitterで知った国民は「待ってました」とばかりに飛びつき開設3日目で何と10万人近いフォロワーを獲得している。陸自幹部の「武断」を大いに評価したい。
Internetが世界を変えた。その Internetを通じる Twitterがその変化を更に具現化した。まさにホリエモン氏がそう予言した通りになってきた。次に起こる事は何か。それがそろそろ判ってきた。
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