2011年3月28日月曜日

無防備な国、日本

香港で最大発行部数をほこる繁体字(従来の漢字)中国語の「東方日報」の社説である。
中國在日本國難之時出兵釣魚島
http://orientaldaily.on.cc/cnt/china_world/20110319/00182_001.html

普通の日本人には、中国語が判らなくともこの意味は一目瞭然だ。「中国は日本が国難にある時にこそ尖閣諸島に出兵を」と言う意味だ。中国人はこういう事でも躊躇なくやらねばとても生き残れないという厳しい現実の世界に常に直面してきていたのだから、別段驚く事ではない。河野太郎氏のブログで自衛隊の災害支援出動部隊名が全て記載されていたが、海上自衛隊の艦船の相当部分が東北沖にはりついていれば自ずと尖閣付近の防衛は手薄となるのは子供でも判る話だ。戦後の武装解除後のドサクサに北方領土を占領したソ連、ポルトガルからの独立運動の騒乱を機に東ティモールに侵攻したインドネシア軍、相手の危機に乗じて領土に攻め込むのはいつの世も常套手段である。

いや、尖閣の防衛だけではない。今回の大震災で日本の国防上の弱点が脆くも露呈してしまった。実際に日本に陸軍部隊を投入せずとも、一発の核弾頭あるいは核テロなどで東京都心に高濃度放射性物質を飛散させれば日本全体は直ちに機能マヒとなってしまう事があらためて判ってしまったからだ。

1964年に大ヒットした映画「007ゴールドフィンガー」では米国の保有する大量の金塊を放射能で汚染させ半永久的に使えなくしてしまうというストーリーがあったが、現代はそんな面倒な事をせずとも、証券・金融取引を一括で管理、制御するシステム(そんなもの実際にがあるかどうかは知らないが)が高濃度の放射性物質で汚染されてしまえば、即座に日本経済はマヒしてしまい、日本国内のみならず海外との取引も不可能となってしまうだろう。みずほ銀行の ATMシステムが東北地方の災害救援の義援金振込みラッシュだけで、平時においても数日間トラブルを起こし日本国内のみならず海外取引にも使用不可となってしまったのがこういったシステムの脆弱性の表れだ。この銀行は三菱東京UFJと三井住友に比べ、システムに関するリスク分散には全く無防備であった事が判った。

原発事故での放射性物質の拡散被害が本当に首都圏まで及ぶという深刻な事態ともなれば自分の身だけは海外へ逃避させるという事は可能であろう。しかし、こういった金融システムまでもが放射能汚染によって長期間機能マヒともなれば、金融資産の現金化や海外への送金も不可能なものとなってしまい、海外での当座の生活資金さえ手当てがつかなくなってしまうのである。こうしたまさに最悪の事態が富裕層の人達の頭によぎらなかったと言えばウソであろう。そうなれば残るは自らの資産の海外へのリスク分散を図らねばならないという事になるが、それも日本の金融機関を通じての海外資産購入では結果は同じである。自らが事前に海外に出向いて、しかるべき購入手続を現地で行っておく必要が出て来る。

その点、米国では2008年のリーマンショック以降不動産は急落して現在の価格水準は底であると言われているから、ドル安、市場価格安のまたとないチャンスではある。また米国なら不動産の流通市場も発達していて、換金化が必要な時は比較的簡単に行える。首都機能分散の分散先は日本国内に限定されているが、個人資産のリスク分散先は今回の事例を教訓にするならば海外という事になろう。

と、ここまで書けば、あいつは米国の不動産業者のまわしものか、あるいは外資系投資信託会社のまわしものかと疑われるであろう。勿論、私自身は米国への分散投資を勧めも、否定もしない。しかし、今回を教訓にこういった事までのリスク対策の検討すらしないのはあまりにも無防備で危ない。常に起こりうるであろう最悪の事態を念頭において冷静にリスク分析を行う事は、いたずらに周辺に危機感をあおり、不安感を増大させる事ではない。検討した結果をどう判断し、実行するかしないかは100%個人の自己責任においてである。

そういえば早速商魂たくましい米国人不動産業者から被災支援の呼びかけと同時にちゃっかりと日本人を対象とする不動産の売込みを行うというメールが入っていた。なんとも米国的だ。

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