2011年2月20日日曜日

米国西海岸 vegan(菜食)事情

弱腰&稚拙外交の民主党政権がまたもや威嚇に簡単に屈してしまった相手が今度は捕鯨反対過激派のシー・シェパードであるが、普通の日本人の常識であれば「そんなに暴力まで使って鯨を食べるのに反対するなら、何故牛・豚を屠殺して食べるのに反対しないの?」と思うだろう?

世の中にはそういう筋の通った考えのグループもちゃんとあるものだ。PETA(People for the Ethical Treatment of Animals、動物の倫理的扱いを求める人々の会)という団体だ。こちらの方も肉食系レストランへの営業妨害やら裸の街頭パフォーマンスで物議をかもしているが、ポール・マッカートニーやブリジット・バルドーなどが熱心な支持者で人気上昇中だ。勿論、屠殺に反対するなら、実生活でも肉食は厳禁という事になり菜食中心となるが、その中でもミルク、卵、蜂蜜までも口にしない厳格な菜食主義者は Veganと呼ばれている。現在病気療養中のアップル社の CEO Steve Jobs氏も Veganであり、禅宗の仏教徒である事は有名である。

以前にもこの菜食主義レストランについては触れた事があるが、そこは Little Saigon近くにあるベトナム系の店で、日本人の料理人が普茶料理のコンセプトを導入した食材を使っての、どちらかと言えば中国料理、ベトナム料理的なものが中心だ。しかし、最近はこの食材を使ってアメリカ的なバーガー、サンドイッチを提供するレストランチェーンが人気急上昇中だ。現在ロサンゼルス近郊を中心に 5店舗を一気に展開してきている The Veggie Grillだ。

この店の特徴はサンタモニカや大学のキャンパス近くといった20歳前後の学生や若者が集まる場所に店舗を開き、価格を安く抑えている点である。という事はどちらかと言えば菜食主義は何か老人臭くて枯れたイメージであったのと正反対に、活気ある若者文化になりつつあると言う事であろうか。そこは自分達の感性に合うものなら新しい流行トレンドにはエネルギッシュに飛びつくという西海岸の若者であって、日本の様に何か閉塞感から来る無気力な草食系とはまた違ったイメージでもある。菜食が知的ファッションと言うものにもなれば、別に肉類でなくとも大豆のパテから作った肉もどきバーガーでも一応は腹の足しにはなるので、若者の満腹感は同じなのかも知れない。

思い起こせば、Veggieなる言葉でダイエットの面から野菜サラダを沢山食べるという傾向が米国のビジネス社会を中心に広まりだしたのが1990年ごろからであるから、既にこの健康志向の傾向は20年以上になろうとしている。それが Sushiになり、Fish Tacoになり、ついには veganにまでもなろうとしているのだ。一方、新興国側の中国では金持ちとなった中国人が一斉に肉食の量を急増させていて、その為に飼料となる穀物価格が世界的に高騰しているという現象を生み出している。「支出するもの(米国)あれば、必ず貯蓄するもの(中国)あり」の原則が、「肉食増やすもの(中国)あれば、必ず肉食減らすもの(米国)あり」の原則に通じるという事なのであろうか。


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