2011年2月24日木曜日

Bordersの経営破綻

米国の大手書店チェーンである Bordersが 2月16日に Chapter 11(連邦破産法11条)適用を申請して経営破綻した。全米レベルでは BordersとBarnes & Nobleの二社の大手書店チェーンがあるが、Bordersが約 600店舗、Barnes & Nobleが約 700店舗それぞれ展開している。Bordersは取り敢えず、200店舗を閉鎖して再建の道を探るという事だ。

米国の書店はこの二社が顧客獲得の為に競っているからか、来店する客に対しては極めておおらかな対応だ。本棚の近くにはソファや椅子が必ず置いてあって、客は本棚の本を取り出して椅子に座って、あるいはソファに寝そべって堂々としかも延々と立ち読み(寝読み)が出来るのだ。勿論、床にはカーペットが敷かれているから、そのまま床に直接座ってあぐらをかいて読むのも学生の間で良く見かける姿だ。

更に売り場には必ずといって良い程、スタバの様なコーヒーショップが設置されていて、コーヒーを飲みながらでもくつろいで本を読む事が出来る。勿論、立ち読みした本を買う義務もなく、またハタキで追い出される様な事も決してない立ち読み天国だ。Bordersの経営破綻はこの立ち読み天国が理由ではない。経営破綻の理由は誰が見ても明らかな様に、Amazonによる書籍のネット販売と、同じく Amazonによる電子書籍のKindle、更には Appleによる iPhoneや iPadを使っての電子書籍のiBooksに書店の役割がとって変わられた事である。

Bordersと Barnes & Nobleのいずれもがまた同じ売り場で CDと DVDを販売しているが、これらについても Amazon等のネット販売や、AppleのiTune等を通じてのダウンロードが浸透している。Internetを通じての小売が市場に浸透していく中で、書籍とか CD/DVDといった商品はかさが張らず、壊れる様な品物でもないので輸送が簡単で、またinternetを通じて、本の内容を調べたり、音楽を試聴できる事も大きい。

この書店ビジネスの IT化は最早米国に限った現象ではなく、日本でも相当浸透している筈だ。ただ、日本の場合は都市部では通勤通学に公共交通機関を使う事となるが、それらの駅やターミナル付近に書店があるケースが多く、帰宅途中に書店に立ち寄って新刊書や話題の本を手にしてみるという機会は多い。ここが車社会の米国の書店との違いでもあるが、米国の場合は必ずしも通勤通学の往復途中に立ち寄れる場所にはないので、この点も書店に消費者の足が遠のく理由の一つでもある。

Barnes & Nobleの場合はさすがにこうした IT化の流れに対応し、Androidをベースとした Nookという電子書籍デバイスの分野に早々と着手した。これが Bordersとの違いで明暗を分けたのだろう。まさにダーウィンの進化論、It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is the most adaptable to change.”「この世に生き残る生き物は、強い生き物でも頭が良い生き物でもなく、変化に対応できる生き物だ」、この世界だ。

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