2009年12月5日土曜日

韓亜龍


これは現在米国内で急速に店舗展開をしている韓国系食品スーパーマーケットの名前である。韓国語ではハナリュムと読むらしいが、英語名では H-Mart である。その H-Martが私の住む街にも新しく店舗を開き、大盛況だ。これを在ロスアンゼルス総領事がこちらに来られた時にお話したら、「ああワシントンDCにもあって人気ですよ」と言われた。早速調べて見ると、全米に既に 36店舗も開いているではないか。そのうちの半分は東部地区であるが、New York、New Jersey、と南部のGeorgiaの各州には5店舗づつ、Californiaでは3店舗開いたところだ。

実は私はすっかりこの韓国系スーパーのファンになってしまった。その理由は(1)店舗のインテリアがきれい(2)野菜・果物類は他の店よりも豊富で新鮮である(3)全て価格が安い(4)レジで待たされない、とまあ良い所ずくめである。勿論、近くには以前からの日系のスーパーもあるが、この4点全てで負けている。従って、かなり数の日本人がこの韓国系のスーパーでも買っている様だ。来店客の9割がたは韓国系であるが、白人、日本人、中国系、中東系のお客も良く見かける。おそらく韓国系以外のお客のお目当ては新鮮で種類の豊富な野菜と果物であろう。

通常の米国の大手スーパーチェインだと、野菜の保湿と新鮮度を保つ為には人手を省き水蒸気のシャワーの様なものが一定時間ごとに降りかかる様になっているが、この韓国系のスーパーでは常時野菜・果物を店員の手で補充したり入れ替えたりしている。それだけ回転が良いから新鮮なのかも知れない。店のレイアウトも入口に野菜・果物売り場がまずあって、そこを通らねば更に中に入れない様になっている。勿論、日本の食材もあり、韓国食材のキムチや惣菜類は数多くあって、我々が普段目にしないものも沢山ある。それに店員の動きがきびきびしていて、せっかちな日本人には何よりだ。レジは全て韓国人の店員が担当しており、他のスーパーではあまり期待できない迅速で丁寧な対応だ。

そもそも韓国から米国への移民はベトナム戦争後の1970年後半頃から急速に増加してきており、今や California州ではメキシコ系、中国系に次ぐ一大勢力になっていると言えるだろう。東部ではNew York州や New Jersey州にコリアンタウンが出来ており、西部でも Los Angelesのダウンタウンの西側と郊外に一つの街くらいの大きさのハングル文字が並ぶコリアンタウンがある。韓国からの移民のきっかけは、徴兵制から逃れる為の米国留学や米国政府が韓国軍のベトナム戦争参戦の見返りに韓国人に永住権を優先供与した事だ。

その韓国系の人達も本国韓国の経済興隆に伴い、生活レベルも相当アップして来ている。また彼らは米国社会の様々な分野で活躍しており、例えば私の住む所は全米ではトップクラスの治安の良さを誇る市で majorityは圧倒的な白人系であるにも拘わらず、市長は韓国系である。プロゴルフ界でも Anthony Kim、K.J. Choi、Y.E.Yangは有名であり、女子プロでは毎回トップ10の半分くらいは韓国系で占めている。今やロスアンゼルス郊外のゴルフ場に行っても日本人を見ない時はあるが、韓国人を見ない時はない程だろう。またゴルフ場で会う韓国系の人達のマナーも洗練されてきていて、どう見ても反日とは思えない。それと意外に若い年代でも本国で日本語を勉強していたりしているのがいて驚かされる。おそらく米国に来ている韓国系ビジネスマンは日本企業との取引関係も色々経験しているからなのであろう。

さて米国政府側では日本の新総理を「第二の盧武鉉」と呼ぶむきもある様だが、その意味は「折角政権を取ったのだからガス抜きをさせてやれ、そのうちまた政権交代が起こるまでしばしの寛容」という事でもある。我々の目からすれば盧武鉉氏の方が反米の面ではずっと筋が通っていたのであって、日本の新総理の場合は対米姿勢が一体何なのか我々さえも判らない程の出鱈目な対応ぶりである。

0 件のコメント:

コメントを投稿