2009年12月2日水曜日

事業仕分けの紅衛兵


事業仕分けの結果に対する各界からの陳情は、本来の政権内部の行政刷新会議や国家戦略室ではなく、なんと民主党幹事長に集中させるという事らしい。この闇将軍幹事長氏が「私は党務に集中するので政権運営には口を出さない」と言われていたのはつい1-2ヶ月前の話ではなかったであろうか。いつの間にやら闇将軍が表舞台にお出ましである。それほど事業仕分けの結果に対する各界からの陳情は闇将軍殿には事業仕分けそのものよりもより重要なのだ。

これを見て聞いて、闇将軍の考えている事が何か、まだ目が覚めない様なら余程神経が鈍い人であろう。テレビのニュースで連日見飽きた事業仕分け作業での民主党の枝野、蓮鈁、寺田各議員らはまるで文化大革命の人民裁判に出てくる紅衛兵のごときである。もう既に死刑が最初から決まっている裁判に誰が声をからして、無罪を主張するのか。出来レースそのものの茶番劇である。しかし問題はその奥にあったのだ。当然事業仕分けなるもので予算をカットされた側は政権や民主党に対し様々なアピールなり陳情を行うであろう。既に目にするのは、あのノーベル賞受賞の学者揃っての会見やJOCの武田会長やら元宇宙飛行士の毛利氏らのアピールの姿である。

所詮、新政権にとっては「脱官僚依存」や「歳出の無駄を省く」などという掛け声は選挙での集票目的の空虚な空約束でしかないのであろう。そこまではマニュフェストなるものに騙された国民が馬鹿だという事である。さて問題はここからである。より許せないのは、その事業仕分けを権力維持の為の方策に使おうという闇将軍の汚いやり口である。事業仕分けで予算を削られたり、カットされた当事者側では当然の事ながら必死の思いで民主党幹事長の闇将軍の所に陳情に向かう事となる。

そこで闇将軍側では陳情のうちで何を受けて何を受けないかの判断基準は、今後の選挙での票にどれほど結びつくかどうかであろう。陳情が票に結びつくのであれば、闇将軍としては恩を売るのには絶好の機会であり、「脱官僚依存」とか「歳出の無駄を省く」とかといった事は最早判断上での観点ではない。政策よりも選挙である。その時点では紅衛兵達による人民裁判のパフォーマンスは終了していて、人々の記憶の中では既に相当部分が事業仕分けで削減、縮減されたと思い込んでしまっているであろう。従い。政策面での取捨選択の配慮はもう終わってしまった過去の事なのである。これによって、闇将軍の党内での集票力と発言力はますます極大化され、最早何人も抵抗すら出来ない、より強固な独裁体制が築き上げられるのである。

更にもう一点の面でTVのニュースの画面は正直である。陳情の受付は闇将軍幹事長であると発表した時の闇将軍の周辺にずらりと並んでおられた年配の方々のお顔は、事業仕分けの会場での若手の紅衛兵の方々のお顔とは全く違った、まるで昔の自民党の族議員の方々のお顔とそっくりなのである。この闇将軍の周辺におられる親衛隊の方々が実は民主党という組織の真の実力者であって、若手の紅衛兵の皆さん達は使い捨ての道具に過ぎない。事実、事業仕分け担当議員達の人選は敢えてそうなっている様に思えてならない。

特に代表格の枝野氏は総選挙前の民主党代表選挙の際に闇将軍から名指しで恫喝された四人組と並び、かねてから反小沢の急先鋒である。事業仕分けに対する各界からの反発はこの枝野氏に集中的に向かわせておいて、裏では各界からの陳情は闇将軍が受けるという構図である。陳情を受ける際の闇将軍のセリフは「いやいやウチの若いもんが無礼な事を致しましてスミマセン。私がよしなに取り計らいますので次回選挙のおりは一つお頼み申し上げます」で一件落着となる。これでは手下を使って脅しに脅しておいて、後で親分が助け人となって恩を売るという、まるでヤクザの世界の使い古された手口と同じではないか。

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