2011年1月30日日曜日

米国西海岸 Korean事情 (3)

ロサンゼルスのあるロサンゼルス郡(Los Angeles County)の南隣はオレンジ郡(Orange County)である。このオレンジ郡には全米の主要都市(393市)の治安安全度(Low Crime Rate)ランキングで10位以内に入る市が三つも入っている。全米でこれだけの安全度を誇る Countyは他に類を見ない。この全米393都市の内、安全度第4位の都市 Irvineはこのオレンジ郡の中核となる新しい都市で、清潔で区画整理された美しい街並みもあり、近年その発展振りは目覚しい。

この Irvineの市長は Koreanである Sukhee Kang氏(民主党)である。Kang氏は1952年韓国生まれの58歳で、韓国の高麗大学を卒業後、25歳の時に渡米し、下積みの生活を経てその後米国の市民権を得た言わば移民一世である。同氏は昨年11月の市長選挙では 63%の得票率を得て見事再選されて市政二期目に入った。最近の調査によると Irvine市の人口構成では白人50%、アジア系 36%、ヒスパニック 9%となっており黒人はほぼゼロに近い。

いかに西海岸へのアジア系移民が急増しているとは言え、依然として白人が人口の主流を占める全米主要都市での Koreanの市長は初めての事であろう。同じアジア系でも日系の市長としてはサンノゼ市長であった元運輸長官のノーマン・ミネタ氏がいるが、同氏は日系二世の米国(サンノゼ市)生まれであって Kang氏の様に25歳で渡米したのとではその政治基盤と選出への苦労の度合いが大きく異なる。

この Kang氏が市長に選出された頃の前後からは、Hyundaiや Kia, Samsungといった韓国系大手企業がこの Irvine周辺に officeを構えて、それがまた地元韓国のテレビに紹介されたりした事からますます Koreanの移住が増えてきている。その中でも目立つのが若手の企業エリートとその家族で、彼らがこの流れの主流となっていて、従来の様な都市部で Korean Townを形成する様な労働移民的な動きとは異なってきている。

Kang氏の背景には在米 Korean Powerの団結力があるとは言え、振り返れば、Kang氏の様に単身渡米し、そこから主要都市の市長に選ばれるという様なガッツのある日本人が果たして今後出てくるのであろうか。

2011年1月29日土曜日

米国西海岸 Korean事情 (2)

米国ではゴルフは子供から老人まで誰もが楽しめる安くて手軽なスポーツであり、普通のゴルフ場では日本の様に上着を着て来いとか、半ズボンには長いストッキングをはけとかといった馬鹿げたルールはない。そんな中でゴルフ場では Koreanと一緒にプレーする機会も多くなる。ゴルフ場で会う彼らは概ね我々にはすこぶるfriendlyで、あのロス近辺の高速道路沿いにある「独島(竹島)は韓国領」という派手な看板の事などはすっかり忘れさせてくれるのである。


ある日の早朝ゴルフで日本の大学院で勉強した事があるという KoreanのLさんと二人で回る事となった。彼の外見は人の良さそうな素朴な感じで控え目であり、韓国から来てまだ 2-3年との事であった。スタートして2ホールめあたりから、我々の後ろに一人だけでプレーしている米人が追いついて来る事に気付いていたので、次でパスさせようかなと思っていたところ、突然その男から大声で「早くしろー」のどなり声。我々は二人とも中級であろうからプレーはサクサクと進み決してスローではなかった。しかし、我々が早朝の一番目であった為に先を越された後ろのオヤジはイライラしていたのであろう。この怒鳴り声はあきらかにマナー違反である。

まあ我々であればこの状態では後ろをパスさせるのは当たり前なので、無視するかあるいはこちらに非がなくとも穏便に軽く手を上げてかわすというところかも知れない。しかし、この一見控え目で人の良さそうなKoreanの若者は違った。我々がカートに乗るやいなや、コースを一気に逆送したのである。そしてこのオヤジに対し決して流暢ではない英語で「我々は決してスローなプレーはしていない」と猛然と抗議。その怒り方たるやそれまでの控え目さとのギャップには驚くばかりの勢いであった。この勢いと呼吸に押されてか、そのオヤジは直前の怒鳴り声トーンを一転させて、我々に声を落として謝罪したのである。その後、この若者は何事もなかった様に元の控え目な態度に戻り、我々はこの後ろのオヤジをパスさせる事もなくプレーを続けたのである。

日本人と韓国人、外見やしぐさは似ているが、どうも mentalityでは韓国人の方が主張のぶつかり合うこの米国社会にはより適合しているのやも知れない。

2011年1月27日木曜日

米国西海岸 Korean事情(1)

ある方の誕生日祝いのランチに Korean経営の焼肉屋に。そこで「誕生日祝いなんだけど」とKoreanのウェイトレスに告げると、即座に「あー、今日はチャイコフスキーの誕生日です」と。それからはorderする事を忘れてしばし、チャイコフスキーのピアノ協奏曲や悲愴やらの話で盛り上がり。この Koreanのお姉さんの英語から判断すれば、最近韓国から来られたばかりの様子で、外見からは決して音楽家や音大生には見えない。聞けば、ただ普通に普段クラシック音楽を聴いているだけと。それにしても焼肉屋でいきなりチャイコフスキーにはびっくり。

同じ様に米国では Koreanのクリーニング屋が多いが、こういうクリーニング屋では何故か BGMに FMのクラシック専用番組が流れている事が多い。先週の日経新聞でもソウルではタクシーの運ちゃんが車内でクラシックをかけていると。何もクラシックだけが上等な音楽とは言わないが、聴く音楽はマイケルジャクソンだけという某超大国のインテリ大統領の文化度と比較すれば、何ともKoreanの方々の方により親近感を覚えてしまうものだ。

2011年1月26日水曜日

一般教書演説

昨日のオバマ大統領の一般教書演説では中間選挙での大敗を受けての共和党寄りの姿勢も見られ、逆にこれが支持層を広げる事で再選への道への自信が深められた様に感じられる。そこで例年通り、この方面での的確なコメントを出している通称「かんべえ」氏のコメントを見てみると、さすがかんべえ氏、最後の方に控え目ではあるが、「オバマ大統領の韓国に対する熱いメッセージが込められていた」という事を書かれていた。

確かにWhite House作成の YouTube版を見てみれば、オバマ大統領はご丁寧に 4回も韓国の事について言及しており、いずれも賞賛や信頼のトーンでの文脈である。
http://www.youtube.com/watch?v=kl2g40GoRxg

とても演説を全て見ている暇などないという多忙な皆さんには下記のあたりに画面を飛ばして確認して頂きたい。

1. 教育   26:43あたり 「韓国では教師は Nation Builderとして知られている」
2. Internet 32:32 あたり 「韓国の家庭では米国よりもより素晴らしい Internetアクセスがある」
3. FTA 37:05 あたり 「韓国との FTAでは米国に新たな 7万人の雇用機会を生み出す」
4. 同盟 56:25 あたり 「朝鮮半島では同盟国韓国とともに北朝鮮の非核化を目指す」

韓国は米国にとって文化、技術、経済、外交軍事全ての面で心の底から信頼できる同盟国であるとのトーンである。

問題はこれに対し、日本に関しての言及が全くゼロ、皆無である事である。中国もロシアもインドもブラジルもチュニジアもその他も大統領の口からは国名は出た。しかし日本だけはまるで無視しているかのごとくナシである。

思い起こせば、最近の韓国は日本のはるか先を行っている様なニュースが多い。

1. 李明博大統領のみならず、金泳三元大統領も私財を全て投げ出し寄付した
2. ソマリア海賊制圧に自国の特殊部隊を派遣し海賊8人を射殺し人質を解放した
3. EUと米国とそれぞれ韓国の自助努力でFTA契約締結にこぎつけた

鳩山、菅と続く民主党政権の全く稚拙な外交はそろそろ終わりとしてもらい、尊敬される国、韓国に学んで欲しいものだ。