2010年1月20日水曜日

JAL問題


私はここ30年ほど頻繁に国際便を利用してきているが、1987年を最後に徹底して一切JAL便を利用していない。その後一貫してANAの利用者であり、またそのグループのルフトハンザとユナイテッドの利用者でもある。理由は単純である。JALの体質を直感的に嗅ぎ取っていたからかも知れないがJALという会社の体質が嫌いだったからだ。私はあの御巣鷹山事故で親しかった会社の先輩を亡くしているが、あの事故による安全性の問題が必ずしも主たる原因ではない。当時はANAも国際展開を始めた頃であり便数も少なく、まずはJALをやめて、ルフトハンザやユナイテッドに切り換えたのであるが、偶々両社はその後ANAも含めて同じアライアンスになったのである。

日本人ビジネスマンが海外に駐在していると、必ず出会うのが JALの支店長や駐在員であるが、まあこの人達はゴルフをする事しか考えていないのかと言うほどゴルフ、ゴルフである。そもそもJALに欧州人や米国人が乗るという事は日系企業に勤務している現地人社員以外ではまれであろうから、彼らJALの駐在員の仕事は現地駐在の日本人が顧客としての対象である。彼らJALの駐在員が銀行、商社、メーカーの駐在員と違うのはまさに親方日の丸的な危機意識のなさと、日本人駐在員と楽しくお遊びをしていれば良いという仕事感覚であろう。また顧客となる一般駐在員側でも日頃、アップグレードや航空運賃の割引、希望の座席、超過重量等の面で優遇してもらう事を期待してか、JAL駐在員と積極的に仲良くお遊びをしていたと言う事情もあったのであろう。

それとどういうわけか、彼らJAL駐在員には会社が半国営であるところから変なエリート意識があって、現地日本人社会では大使館、領事館に次ぐ地位だと勘違いしているものもおり、現地在住日本人の諸団体の代表者になったりするものがいる。未だに会社が倒産の危機にあるこの時期に海外の都市でそういうポストに固執する人間がいたりして、普段は余程仕事が暇なのだろうと思わざるを得ない。その点ANAの駐在員は相対的に若く、JALとは違った体質でそういう「名誉職」には決してしゃしゃり出たりはせず、一言で言えば仕事一途、お客様一途で「けなげ」である。

そもそもJALは旧態依然としたオジサン体質でありすぎるのではないか。それはCA(客室乗務員)にも言える事で、JALは会社の危機とか何かと言えばすぐにそのキャンペーンにCAを使ったりするのも全くオジサン的なセンスと発想である。今の時代CAを見て航空会社を選ぶような客はおらず、何よりも航空運賃とサービス、安全性である。全世界の航空会社の安全性を対象にした調査でANAはそのトップクラスのグループに入っているが、JALは何と下位にあるのである。

思い起こせば、団塊の世代が就職する頃のJALは学生人気ナンバーワンの企業であって、その就職説明会には多くの学生が詰め掛けた難関の会社であった。しかし当時からJAL入社には国会議員のコネが有力であるとの噂は絶えず、また実際にそういう事実もあったのであろう。基本的にはJALの体質はかっての国鉄と同じである。一般顧客相手のビジネスに国や政治がからむとろくな結果を生まないという共通原則だ。

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