2010年2月2日火曜日

綱領なき政党、民主党


いやはや、類を見ない「気色の悪い」総理大臣の施政方針演説であった。「いのち」「いのち」と繰り返す、その姿をテレビで見ていて本当に気持ちが悪くなったのである。一国の指導者である総理大臣の施政方針演説が「いのち」である。かっては、その内容がつまらない、魅力がないという総理大臣の演説はあった。しかし演説を聞いていて、気持ちが悪くなるのはいまだかって初めての経験である。その「いのち」を繰り返すのだけは止めてくれと言う感じである。こういう言葉を演説で平気で繰返せるというのは、この人物は体の底からの偽善者なのであろう。あたかも「資力も、知力も、家系も恵まれたこの僕こそが皆さんの命を救ってあげるのですよ」と言わんばかりである。

いのちの大切さが大事である事を否定する人間は今の世の中にはまずいないであろう。しかし、その言葉をことさら取上げると言う事は、「いのちが大切だから」という大義名分の為に国は自分達の面倒を何から何まで徹底的に見るべきであるという、自律、自主、自立の精神を否定してしまう事につながりかねない。ケネディー大統領のあの有名な演説の「国が何をしてくれるかではなく、国の為に何が出来るかを問え」とは180度違った国民への呼びかけではないだろうか。

そもそも何故この様な気持ちの悪くなる「いのち」という言葉が理念として使われたのか、これをまず理解しておかねばならないだろう。つい最近自民党は新たなる党の綱領というものを発表したが、自民党が言う通り、確かに民主党には政権を預かる政党にも拘らず、党の綱領というものが存在しない。いや綱領などというものはそもそも作れないのであろう。自民党の綱領はその冒頭に党組織の目的として「自由と民主」と「日本らしい日本の確立」という極めて明確で分かり易い理念が述べられている。事実、現在の民主党の様に党内での自由な発言さえ制限、自粛させられているという「自由と民主のない」異様な体制と体質の政党との違いを明らかにしたものである。

政党として綱領がない、即ち公表できる共通理念がない政党というものは一体どういう政党であろうか。それはまさに闇将軍幹事長の権力欲が基盤になって、闇将軍の独裁体制の元で政治理念がないまま権力欲のままに動く政党という事であろう。従って、その政党から総理大臣が施政方針演説でその理念を語る場合には、こういったまさに気持ちの悪くなる様な偽善的な言葉を使うしかないのであろう。総理大臣自らが「具体性がないと批判されると思う」と直後の記者会見で述べているのは全く国民を馬鹿にした話である。総選挙結果で政権交代が実現したので、国民の負託を受けているから今更政策の具体策なんかは述べても意味がないでしょうという気持ちの表れだ。

この総理大臣には一体自らがいかに情けない姿をさらしているかの自覚がないのであろうか。同じくまことに情けない姿をテレビにさらしてしまったのがこれまた、副総理である。マニュフェストにある「脱官僚依存」というのは国家のあり方を説く一つの政治理念であるが、先日の参議院予算委員会での菅財務相の答弁に見られる様なお粗末で官僚依存そのものの情けない姿はまさに現行不一致の皮肉である。三人もの財務省の役人があわてて答弁につまった菅大臣の前に集まってきてしゃがみ込み、必死で答弁内容を教えているのである。財務大臣なら当然知っているであろう、大学の経済学部一年生が学ぶ程度の内容の「消費性向、乗数効果」の質問である。

偽善者そのものの総理、脱官僚を叫ぶ割には官僚依存の情けない副総理、お二人には少しだけでも良いからあの闇将軍の偽悪的な図太さを学んではどうかと言いたくなるのである。

1 件のコメント:

  1. 今日の産経新聞正論を読み、唖然としました。
    googleで検索したら、引っかかってきたので訪問させていただきました。
    いったい政党が理念も綱領もないとは。
    少なくとも税金が投入されているのに。
    こんな寄り合い所帯、政権とるために金で縛られた政党に一票入れた国民は大馬鹿者と言うことですね。

    返信削除